冬休みの過ごし方 -森岡-
地理学PhDプログラムの森岡です。冬休み、他の方々は長期で遠くにお出掛けされてたみたいですが、私は、遠出はニューオーリンズとバトンルージュに5日ほどのみ。Louisiana State Universityに在学中の友達に会いに行きました。あとは、ほとんどイリノイです。というわけで今回は、遠出の話と、日常生活の話を書きますね。
ニューオーリンズの話はTBCさんがサンクスギビングの過ごし方でされてましたが、私も少しだけ。ニューオーリンズへは、イリノイ大学の最寄り駅 シャンペーン・アーバナからアムトラック(全米を結ぶ長距離旅客列車)のシティー・オブ・ニューオーリンズ号で一本なので、鉄道の旅が好きな人にオススメな旅行先です。中は結構豪華で、食堂車で相席になった他の乗客と会話したりと結構楽しい時間でした。ただ、アメリカの鉄道は旅客より貨物が優先のため多々遅れる点には注意。
ニューオーリンズには、The National WWII Museumという第二次世界大戦をテーマにした博物館があります。なんでこの場所にと思いましたが、戦時中は軍港の役目を果たしノルマンディ上陸作戦の水陸両用ボートが製造された地なんだそう。戦勝国から見た歴史観の展示に色々考えさせられます。
フレンチクォーターと呼ばれる歴史ある観光エリアでは、アフタービートが街に活気を与えています。噂には聞いてたけど想像以上にあちこちで演奏されてました。これぞ音楽の街、歩いててウキウキします。
あのハリケーンカトリーナの被災地でもあるニューオーリンズ。当時の被害の様子は州立博物館The Presbytereなどで知ることが出来ます。街歩きをすると浸水対策のため高床な家が多いように見受けられました。イリノイ大学があるシャンペーン・アーバナの家々は、高床だとしても雪対策? それに、竜巻用シェルターとして地下室を持つ家有りと、同じアメリカでも住宅事情が全然違うことに気づかされます。ちなみに、ルイジアナで凄いなと感じたのは、甚大な被害を経験した後でも、打ち立てている計画のコンセプトが「Living with Water」。レジリアンスな街づくりを垣間見ました。大雨が降った時に雨水を逃がして溜めておく緑地帯の整備等を、市民と行政がNPOを介し一体となって進めている姿には頭が下がります。
話を変えまして、イリノイでは何をしてたかというと、いろいろ勉強しつつも、正月を寮の友人と迎え、大学の美術館でアルバイトをし、シャンペーン・アーバナを知るべくドライブや都市計画バスツアーに参加といった生活を送っていました。以下、その事について書きます。
まず、寮での話を。元日に奮って寮のキッチンで筑前煮とお雑煮を作り、友人らと紅白歌合戦(オンデマンド)を見ながら食卓を囲みました。有難いことに、食材は近所のアジア系スーパーが意外と充実しており、大抵の物が手に入ります。
大抵の物は近所で入手可能ですが、どうしても無いものについては、シカゴの郊外にある「ミツワ」という日本系スーパーがオススメです。年末に研究室の友人に連れて行ってもらいました。日本食材の充実度もさることながら、紀伊国屋書店や源吉兆庵まであります。フードコートの山頭火ラーメンですっかり帰国した気分になれました(笑)。
さて次に、小遣い稼ぎに3日間だけ大学の美術館(Krannert Art Museum)で警備スタッフとして働きました。Krannert Art MuseumはSchool of Art + Design の研究資料コレクションの一部を公開という位置づけで、西洋絵画、オリエンタル彫刻、日本の陶磁器、VRなど、多種多様な展示品があり結構楽しめます。また、学生の作品も入口横のギャラリーにて、企画展形式で展示されています。仕事内容は、警備しながら来館者にトイレへの案内や展示品の紹介を英語でするというもので、いいトレーニングになりました。質問が聞き取れなかったり、とっさの返答にどう言って良いか英語が分からなかったりと、語学力がまだまだだと痛感することも。
最後に、都市計画を知るバスツアーでは、市民が集えるパブリックスペースの確保が主要議題でした。街の玄関に市民が憩えて、時にはイベントが開催できる場を設けるというのが目的のようです。上で述べたニューオーリンズの街づくりとは、これまた違いますね。SNSに上げたところ、白人のお役人はあまり貧乏な黒人やヒスパニックのことを考えないのが残念。とのコメントをある方から頂戴して、確かに、その点にはあまり触れられてませんでした。ちなみに、シャンペーン・アーバナにもセグリゲーションが存在し、University Avenue より北側が黒人やヒスパニック系の方が多い地域とのことです。
以上、そんな感じの冬休みでした。同じアメリカといえども、地域によって自然、気候風土、人間の暮らしぶり、大学の雰囲気も違うんですね。頭では何となくわかっていたつもりでも、実際に出かけてみて気付かされました。在学中に、なるべく多くの都市を訪れ、各地域の文化に触れられたらなと改めて思いました。
ではまた。