イリノイ大学留学記

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の日本人留学生によるリレーブログ

酒の祭典 -Unofficial-

イリノイ大学が全米有数のパーティースクールと呼ばれているのはご存じだろうか?
超名門・プリンストン大学が発表しているParty School Rankingで毎年上位にランクインしているのだ。
2018年は順位を落とし14位だったが、2017年は3位、2016年はなんと全米1位に君臨していた。


我らがイリノイ大学が屈指のパーティースクールたる所以である年一度のイベントが3月2日に開催された。
その名も“Unofficial(非公式)”

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(写真は2015年度のもの)
名前通り、大学公認ではなく独自に作られた非公式イベントなのだが、その規模はすさまじく約1か月前から準備され専用のFacebookページも作られるほどである。
そこで今回は、このUnofficialについて紹介したい。

Unofficialの歴史はそれほど長くなく、1995年に始まったとされる。
毎年3月17日はSaint Patrick’s Day (聖パトリックの日) という名の祝日であり、アイルランドキリスト教を布教した聖人の命日とされる。
緑がテーマカラーとなっており、各地では大勢の人が緑の服を着たり、シカゴ川やホワイトハウスの前の噴水の水の色が緑色に変えられたりする。
シャンペーンでは毎年この日、若者たちがバーなどで酒を飲みながら祝日を祝うのが恒例となっていた。
しかし1995年、この祝日がイリノイ大学の春休みと被ってしまうという事態が発生した。
地元のバーの店主たちは、せっかくのSaint Patrick’s Dayにも関わらず客が大きく減ってしまうことを恐れ、春休み2日前の3月8日(水曜日)にキャンペーンを実施することにした。
この企画は大成功に終わり、やがて全米でも認知されるほどになった。
しかし、いつの間にかこのイベントがイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の一大イベントとして広まってしまったのである。
大学側はあたかも大学がこのイベントを支援しているかのような噂をあまり好ましく思っておらず、翌年からは同イベントが“Unofficial St. Patrick’s Day”として宣伝されるようになった。
これが“Unofficial”の名前の由来である。
さらに1997年には春休みの前の週の金曜日に開催され、それ以降は毎年春休み前2週間前の金曜日に開催されることとなったのである。
やがてUnofficialは単なるキャンペーンではなく大学の一大イベントとなり、参加者は緑のシャツを着たり、大学外からもOB・OGなどがはるばる参加するほどの規模になった。
また酔っぱらった状態で授業に出ることで、出席点を引かれないようにするという風習も一般的なものになった。
しかし規模の拡大に伴い、路肩の吐瀉物や道の真ん中で倒れこむ学生が多発したり、シラフの学生が酔っぱらった学生を敬遠し授業を欠席するなどの問題も発生している。
州や大学側も対策として、Unofficial当日は酒類購入時のID確認を強化したり、セキュリティガードの人数を通常時の数倍にするなどしている。

先述のパーティースクールランキングでイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校が上位にランクインするのは、このUnofficialの歴史に加えFraternity・Sororityに加入している学生の割合が高いことが影響しているとされる。
FraternityとSororityではUnofficialだろうとなかろうと毎週のようにどんちゃん騒ぎのパーティーをやっているが、Unofficialでは大学側からパーティーをしないように勧告が出されているという。

イリノイ大学のパーティー文化は根強く、日々の勉強のストレスを学生が放出する機会が十分にあることが、同校が学業面でも全米屈指の名門校たる理由の一つかもしれない。

 

(Unofficialの歴史はこちらのサイトに詳しく書かれているので、興味のある方はぜひご覧ください https://archives.library.illinois.edu/blog/unofficial/)