イリノイ大学留学記

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の日本人留学生によるリレーブログ

授業紹介 -南部-

みなさまお久しぶりです、南部です。無事に(?)に期末試験期間が終わり、冬休みに入りました。冬休み中は寮には誰もいなくなり、追加料金も取られてしまうため、現在東海岸に旅行しております。イリノイよりは多少暖かいですが、寒いことには変わりません…
私が秋学期に履修したのは、
1, Developmental Psychopathology(発達精神病理学
2, Stress and Resiliency in Childhood(子供のストレスと耐性)
3, German
4, Black & White Film Photography
という4つでした。日本の大学では心理学メジャーで臨床分野に関心があるため、こちらでも臨床心理学をメインに履修しています。日本では限られた教授の授業しか受けたことがないことが理由かもしれませんが、こちらで臨床心理を1学期間履修してみて、日本よりもかなり科学的な思考がなされているな、との印象を抱きました。心理学の授業についてはまたどこかの記事で書きたいと思います。今回は、Black & White Film Photographyの授業について書きたいと思います!

この授業は美術メジャーの科目ですが、写真が趣味なこと、あまりガチガチにアカデミックなものばかりでも大変だろうということで履修しました。この授業はその名の通り、白黒フィルムで写真を撮り、自分で現像、プリントします。私が小さい頃はまだぎりぎりフィルムカメラの時代で、フィルムのケースをよく工作に使ったことを覚えていますし、家のタンスにはまだ小さい頃の写真のネガがあります。しかし、白黒フィルムなんてそれよりはるか前のものは、今となっては趣味以外では使う人などほとんどおらず、時代の遺物、化石級といっても良いでしょう。しかしイリノイ大学には、フィルム写真の現像ができる暗室があるのです!

そんな白黒のフィルムを、自動機能の全くないフルマニュアルのカメラにセットし、明るさとピントを全て手動で合わせて撮影します。さらに撮影したフィルムを暗室で薬品につけて現像し、ここでやっとネガが出来上がります。フィルムを現像するこの過程でミスをしてしまうと、せっかく撮った写真も全て消え去ってしまうので、失敗するととてつもなく絶望します。次にプリントの過程では、引き伸ばし機にネガをセットして像を感光紙に映し出し、その感光紙を薬品につけることでやっと写真と呼べるものが完成します。

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授業で使用したカメラ。PENTAX K1000、日本製で1980年代のもの。

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暗室。タブにそれぞれ違う薬品が入っていて、光を当てた感光紙を順番につけます。

感光紙は白い紙で、光に当たると薬品につけたときに黒くなる性質を持ち、当たる光量が多いほどより黒くなります。一度プリントしてみて明るすぎる(白すぎる)部分がある場合は、次に光を当てる時にそこだけ長めに光を当てることで程よい明るさに調整します。また、引き伸ばし機にセットする半透明のフィルターを変更することで写真のコントラストを変えることもできます。しかしどんな調整をするにしても、プリントして毎回確認しなければならないため、完璧なプリントにするにはかなり手間がかかります。

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出来上がった写真。ブログ管理人かもあし。

今やスマホ一つで手軽に撮影でき、誰にでも簡単にシェアできる写真ですが、かつてはこれだけ手間がかけられていたと考えると、技術の進歩に驚くとともに一つ一つ作業をしていた写真屋さんたちの仕事に尊敬の念が尽きません。また、この授業で習得した調整法はアナログ的な手法ではありますが、やっていることは現在のデジタル写真とあまり変わらないなと思いました。Photoshopのように人を消したりはできませんが、コントラストを変えたり、部分的に明るさを変えたりといった調整は、誰かが撮ったフィルムを最大限生かすアートだと感じました。

いかがだったでしょうか。かなりアカデミックなイメージのイリノイ大学ですが、このようなアート系の授業も充実しています。普段学んでいる分野の視点を離れて、感性豊かに表現を行う、そんな時間も大切だなと実感しました。それでは、またどこかの記事でお会いしましょう!