イリノイ大学留学記

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の日本人留学生によるリレーブログ

新しい環境への適応

今回はイリノイ大学に来てからの約2か月の経験をもとに、人間が新しい環境においてどのように適応するのかについての考察を中心に書きたいと思います。

まず初めに、同時期に各国に留学へと飛び立った仲間と連絡を取り合い近況報告する中で、明らかになったことがあります。

それは社会学における “適応曲線”という理論が各大学のオリエンテーションで新入生向けに紹介されているということです。

この適応曲線の理論は、“異文化体験のW曲線モデル”や“Uカーブモデル”とも呼ばれますが、簡単に説明すると人が新しい環境に適応する際には、その心理的な適応の度合いに波があるということです。

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上図の様に心理的適応は大きく4段階に分けられ、それぞれ

・全ての体験が新鮮で、何もかもが楽しく感じる“ハネムーン期”

・新しい環境に敵対心を持ち、殻にこもるような反応を見せる“ショック期”

・新たな言語や慣習を体得し、文化への適応が見られる“回復期”

・異文化適応が完成し、ストレスがなくなり新しい環境を受け入れる“安定期”

と呼ばれます

海外に行かなくとも、国内でも大学に入学するなど新しい世界に飛び込んだ時に無意識のうちにこの心理的適応の波に揺られることがあります。

この適応曲線が紹介されるのはアメリカの大学に多く、新入生に予想される心理的変化を予め説明することで、新入生が急激な変化に直面したときにその原因を理解し、自分を責め過ぎずに済むという点で、この取り組みはとても有意義だと感じました。

 

私はイリノイ大学に来てからの2か月で、すでにハネムーン期とショック期を経験しました。

授業が始まった8月下旬から9月の上旬は毎日が楽しく充実しており、目覚ましよりも早く起き、授業の開始10分前に教室に到着し、寮に帰るとすぐに宿題を終わらせ、夕飯は新しくできた友達と夕飯を食べBarに飲みに出かけるという健全で楽しい留学生活を送っていました。特に9月の第1週に誕生日を迎え、こちらで新しくできた大勢の友人たちに祝ってもらうなど、人生の絶頂とも言えるような日々を送っていました。典型的なハネムーン期の心理的状況です。

しかし9月の下旬からショック期に突入してしまい、生活が一変しました

日本でもよく言われる5月病に似た症状で、起きる時間が授業の開始時間ギリギリになったり、宿題を締め切り直前までため込んだりするなど、怠惰な生活送るようになってしまいました。(完全に自己責任で5月病は言い訳に過ぎませんが)

ただ普通の5月病と違うのが、自分の世界に入り込むようになり人と話す時間が減り、また英語が以前よりも出にくくなるという2つの点です。

アメリカに来て以前よりも圧倒的に英語の会話量は増えているのに、スピーキング能力はむしろ後退しているように感じています。

この2つはショック期にみられる変化であり異常な症状ではないと考えられますが、想像よりも顕著に出ていて正直驚いています。

また10月に入り気温が次第に下がり始め、気候も晴ればかりだったのが曇りが目立つようになってきたことも大きな影響を及ぼしていると考えられます。

早くショック期から回復期へと移行することを祈るばかりですが、波の大きさや移行のタイミングには個人差があるそうなので、いつになったら回復期になれるのか私自身にもわかりません(神頼みではいけないのは重々に承知していますが)

 

今回、柄にもなく長々とこんなことを書いているのには2つの理由があります

1つ目は留学中に体験したことや自分なりに考えたことを何らかの形で書き留めたいと思ったからです。そもそも近況報告を頻繁にするようなマメな人間でもないのでブログを定期的に更新するのは性に合わないのですが、日本を離れ異国の地で暮らし、一人暮らしを始め自由な時間が増えたことにより今までは全く考えもつかなかったことを考えるようになりました。海外から見た日本や、日本とアメリカの文化の違いなどについては毎日新しい発見があり、ブログに書ききれないほどです。前にスクールカーストについて書いたことがありましたが、あれに似た記事を書くことの方が私の興味に沿ったことなのではないかと思うようになりました。

2つ目は将来イリノイ大学に留学することを考えている人や、留学が決まった人に、現地での生活がどんなものかを具体的にイメージできるようなブログを書きたいということです。私がイリノイ大学に留学が決まったときに、前年度に実際に行かれた方に直接お話を伺ったり、大学の交換留学記を読んだりするなどして情報を集めましたが、その時に日々の生活をネットにまとめている人がいたらとても助かるなと思い、アメリカに着いたら現地の大学についてのまとめ記事などを書こうと考えていました。イリノイ大学に限らず、アメリカの大学に留学を考えている・留学が決まっている人の役に少しでも立てるような内容を書きたいというのが、このブログの趣旨の一つでもあります。

 

長々と書いてきましたが、言いたいことは以下の2つのことで、

・新しい環境に適応する際には波があって、今は最初の谷を下っていく時期である

・このブログは決して留学の充実度をアピールするものではなく、私の個人的な考察を書き留めるため、また留学に興味がある人に少しでも役立つ情報を届けるために書いている

今回の記事は怠惰な生活を送ってしまったことを反省し、留学の目的を再認識することで自分の中でけじめをつけるという意味もあります。

 

今後はブログの趣旨が少し変わってしまい全く面白くないものになってしまうかもしれませんが、ブログの趣旨を上記のように決めた以上、それに忠実に従って記事を書きたいと思います。

またそのために自分の知識と考察を深め、それを分かりやすく文章化して伝えるための努力もしていく所存です。