イリノイ大学留学記

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の日本人留学生によるリレーブログ

授業紹介 Part.2 -保坂-

こんにちは、保坂です。今学期履修している授業を紹介したいと思います。帰国後の単位認定のことも考えて、経済学の授業をメインに取りました。

 

ECON 411 Public Sector Economics
経済学における政府の役割について扱う公共経済学の授業です。外部性や公共財といった政府の介入を必要とする状況や、社会保障や再分配といった福祉的な役割、政府の役割の中で経済学的に最も大きな意味を持つ税金について勉強します。経済学には、実証的に解明できる「事実解明的な問題」と、価値観よって判断が分かれる「規範的な問題」というのがあるのですが、公共経済学は「規範的な問題」を多分に含みます。例えば、税金に関して、増税して再分配することにより経済的な平等を目指すのか、減税して社会全体のパイを増やす方を目指すのか、というのはその人の価値基準によって意見が分かれます。そのため、授業で「答え」が出ないことが多々あり、他の授業とは違った面白さがあります。

 

ECON 420 International Economics
国際貿易論と国際金融論の2本立てで国際経済学を学ぶ授業です。先学期のマクロ経済学で扱ったファイナンスの部分に興味を持ったので履修しました。貿易論ではミクロ的な視点に重点を置き、リカードモデルやヘクシャー・オリーンモデルなどの理論を用いながら、貿易のパターン、貿易による利益やその分配などを分析していきます。一方で、金融論ではマクロ的視点から、為替レートの決定理論やマクロ経済政策の効果などを学びます。まだ金融論まで進んでいませんが、このために履修しているようなものなのでとても待ち遠しいです。この授業では、ミクロとマクロで学んだ経済理論が国際経済においてどのように応用されているかを知ることができて、やっと道具の使い方を分かってきたという気がします。


ECON 471 Introduction to Applied Econometrics
計量経済学を体系的に学んでいく授業です。統計を扱う計量経済学の特性もあって、数学的な厳密性をとても大切にしており、こちらの経済学の授業では珍しいように思います。というのも、アメリカの経済学の授業(学部レベル)では数学的裏付けはあまり触れられず、政策での実用例などのプラクティカルな面に重点を置いている傾向があるからです。これは日本の経済学の授業との違いの一つかと思います。またこの授業では、教科書的な学習に加えて、Rという統計ソフトを用いた課題に取り組みます。プログラミングコードを書いてRにデータを処理させ、場合によってその意味を解釈します。プログラミングの経験がないために最初は手を焼きましたが、だんだん慣れてくるとパズルを解いているみたいで非常に楽しくなってきます。


ECON 490 Economic Growth and Development
主に途上国の経済成長と経済開発について学ぶ開発経済学の授業です。個人的に、この一年で最も自分の興味と合致する授業です。世界でなぜ貧困や格差が生まれるのか、先進国と途上国の違いを生み出す要因は何か、どうしたら経済成長・経済開発を促せるのか、というような難題を、様々な国の歴史やその中で確立された理論を元にして考えていきます。授業はTAが学生とのディスカッションを通して展開していきます。アメリカ人、中国人、インド人など異なるバックグラウンドを持つ人が思い思いの意見を述べるので、ときに対立することもあり、白熱した面白い議論が生まれます。自分も圧倒されるだけでなく、自分の意見を持とうと思わされる授業です。


ESL 112  Introduction to Academic Writing Ⅱ
英語での学術的文章の書き方を一年かけて学んでいく授業の後半です。先期にエッセイやパラグラフの構造などの基礎的な事項の学習を終え、今期は最終的にリサーチペーパーを仕上げるのを目的に、リサーチの手順や論文のマナー等必要なことを学んでいきます。僕のクラスは10人程度と少人数で、ライティングの指導経験が豊富な講師から毎週のようにフィードバックをもらいます。コンテンツ自体もかなり体系化されており、コツコツとこなしていくことで英語で学術的文章を書く力がついてきていると感じます。講師の方も教えることにとても熱意を持っていて、投入した分だけ向こうもしっかり返してくれます。

以上が現在履修する授業です。これに加えてセメスター後半だけの授業が来月からあるのですが、果たしてそんな余裕はあるのでしょうか(反語)。